コモディティへの資金流入が回復しているが、専門家によると少なくともあと1年間は、商品指数が株価指数を一貫してアウトパフォームすることはなさそうだ。
8月にコモディティが堅調に推移したことと、コモディティと他の資産クラスとの相関性が切れたことにより、投資家の関心が戻りつつある。
ハーミーズのコモディティ担当ポートフォリオマネジャー、デービッド・ヘミング氏は最近の記者会見で「数カ月前までコモディティに対する見方は悲観的としか言いようがなかったが、それが変化したようだ。特に8月以降はそうだ」と話す。
8月のコモディティ価格上昇は、中国の経済指標改善やユーロ圏のリセッション(景気後退)からの回復、シリア情勢をめぐる緊張などを背景に、金属と原油が主導した。
シティが23日発表したリポートによると、7─9月期はこれまで差し引き55億ドルがコモディティ指数スワップに流入した。もっとも年初来ではなお差し引き34億ドルの流出となっている。
ここ数年、多くの投資家は債券投資を好み、よりリスク志向の高い投資家は株式に資金を投じたため、コモディティは著しくアンダーパフォームしていた。
原油など19商品の先物相場で構成されるロイター/ジェフリーズCRB指数<.TR●●RB>は過去2年間、S&P500種総合株価指数<.SPX>を40%もアンダーパフォームしていたが、8月には逆転してCRB指数が6%のアウトパフォームとなった。
バークレイズのコモディティアナリスト、ケビン・ノリッシュ氏は先週のセミナーでこの変化について、コモディティ相場が移行期にあることを示している可能性が高いが、相場が継続的に強さを示すのはなお先だと予想。「コモディティが再び目を見張るほどの投資リターンをもたらし始めるのは、(世界の景気)サイクルがもっと先の段階に進んでからだろう。それは2014年末か、場合によっては15年にずれ込むこともあり得る」と話した。
<相関性が崩れる>
しかし一部の長期的投資家は、コモディティと他の資産クラスとの相関性が崩れたことに意を強くしている。
金融危機このかた、株価とコモディティ相場は「リスクオン・リスクオフ」の波に揺られて概ね同じ方向に動いてきた。
しかしCRB指数とS&P500種株価指数の30日間の相関性はマイナス0.19と、4月のプラス0.74から反転。2008年以来で最も相関性が低い状態となった。
UBSのコモディティ担当グローバルヘッド、エドムンド・キャロル氏は「投資家はコモディティという資産クラスに好意的になっており、分散投資の手段としてポートフォリオに加えている」と説明した。
個々のコモディティ同士や、コモディティとドルなど、その他の相関性も崩れている。
しかし大半のコモディティ市場が明確な方向性やボラティリティを欠いているため、投資家が妥当なリターンを収めるためには実需の流れを重視した戦略に目を向けざるを得ない。
上場投資信託(ETF)提供会社ソースのマイケル・ジョン・ライトル最高開発責任者によると、エネルギー・パイプラインを保有するマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)など、コモディティに連動した実需資産を購入する投資家もいる。
ライトル氏は「週単位、月単位で変化するものに比べ、いかに優れた長期的投資手段であるか、気付き始めるだろう」と述べた。