ドコモにとって「アイフォーン」発売はまさにもろ刃の剣だ。人気スマホを取りそろえることで番号持ち運び制度(MNP)による他社への転出を止め、ソフトバンクやKDDIに水を開けられた純増数でも巻き返しが期待できる。
しかしアップルがアプリ(実行ソフト)やコンテンツサービスの収益を握るアイフォーンを売るということは、ドコモが開発してきた独自サービスを使わない顧客を増殖させることになる。
ドコモは「このままでは通信事業者は土管化する」という危機感から、幅広い分野のコンテンツを集め新規事業を開拓してきたが、これらの資産を生かせない市場を作ることになるわけだ。
「アイフォーンはドコモにとって、毒にも薬にもなる」(市場調査会社)。契約数巻き返しの特効薬となりそうな半面、回避してきたはずの「土管化」を助長する“毒薬”にもなりかねないからだ。