具体的なお供えと供養の内容
## 釈文(文字の書き起こし)
### 【右ページ】
1. **丹食過差贈恩然教**
2. **觀音靈像動霜刃西**
3. **東聲咲運金綵而進**
4. **驗開則氣聚日々耀**
### 【左ページ】
5. **豪分滿月之乳牧**
6. **法花等經粉萬金而全**
7. **金字指百寶一尊齊倶**
8. **於是我墨流骨石互儀鹿**
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## 書き下し文
> **【右ページ】**
> 丹食(たんしょく)過差(かさ)なるも恩を贈り、然(しか)して教(おしえ)の観音の霊像は霜刃(そうじん)を動かし、西東(さいとう)の声咲(わら)いて金綵(きんさい)を運(めぐ)らして進む。験(しるし)開くときは即ち気(き)聚(あつ)まり日々に耀(かがよ)う。
> **【左ページ】**
> 豪(ごう)は満月の乳牧(にゅうぼく)を分かち、『法華』等の経は万金を粉(ふん)にして全(全う)し、金字は百宝の指し、一尊斉(ひとし)く倶(とも)にす。是(ここ)において我が墨は骨に流れ、石は互いに鹿を儀(ぎ)す。
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## 詳細な現代語訳(意味)
* **【右ページ:観音菩薩像の造立】**
身に余るような大きな恩徳を賜ったことに感謝し、仏の教えに従って観音菩薩の尊像(霊像)を造立いたします。刀を振るって彫り進め、あちこちから歓びの声が上がるなか、美しい金色の彩色を施して仕上げてまいります。その霊験が現れると尊い気が満ち満ちて、日々輝きを増していくかのようです。
* **【左ページ:経典(法華経など)の書写と黄金の装飾】**
(白毫から放たれる光は)満月のように清らかであり、**『法華経』をはじめとする諸経典**を書写するにあたっては、おしみなく巨万の富を尽くして完璧に仕立て上げました。金泥(金文字)を用いて一字一字心を込めて書き記し、数々の宝物で飾られた尊像とともに供養いたします。これによって我が思い(墨)は骨に染み入るほど深く、その誓いは石のごとく固く固く刻まれるのです。
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### 💡 この場面の見どころ(書法と文脈)
* **見どころの文字:**
* 右ページ2行目の「**觀音靈像**」
* 左ページ2行目(通算6行目)の「**法花等經**」(※「花」は「華」の異体字)
* 左ページ3行目(通算7行目)の「**金字**」
観音像を造り、金泥で『法華経』などを書写したという**願文の最も中心的な寄進内容**が語られている非常に重要な場面です。
* **筆圧とリズム:**
橘逸勢特有の、太細の劇的な対比と躍動感(行草書)が美しく表現されています。特に「法花」などの大きく伸びやかな筆遣いは、書道史上でも高く評価されているポイントです。