概要:日本がフェンタニルの密輸活動拠点となっていた件
日本経済新聞の独自調査により、合成麻薬「フェンタニル」を米国に不正輸出する中国の犯罪組織が日本に拠点を持っていた疑いが浮上した。具体的には、名古屋市に登記された「FIRSKY株式会社」が組織の司令塔として、少なくとも2024年7月まで危険薬物の集配送や資金管理を指示していたとされる。この組織は、中国・武漢の化学品メーカー「Hubei Amarvel Biotech」を中心に、日本、中国、米国にまたがる偽装ネットワークを構築し、フェンタニルやその前駆体(原料)をメキシコ経由で米国に密輸していた。米国ではフェンタニルの乱用により年間数万人が死亡し、社会問題化している。米麻薬取締局(DEA)は、2023年6月に南太平洋のフィジーで同組織の幹部である王慶周(Wang Qingzhou)と陳依依(Chen Yiyi)を逮捕し、ニューヨークの連邦裁判所で有罪判決を受けた。裁判記録から、日本にいる「ボス」として中国人男性「Xia Fengzhi」が浮上し、日本が密輸ルートの一端を担う「日本ルート」として関与している可能性が指摘された。日本の緩い入国管理や検査体制、外国人不動産取得の規制の緩さが、密輸拠点として利用されやすい要因とされている。米国は中国やメキシコ、カナダに対し関税引き上げなどの強硬策を講じており、日本もこの「新アヘン戦争」の渦中に巻き込まれるリスクが指摘されている。