2. 特殊法人・独立行政法人
特殊法人(約100法人)や独立行政法人(約400法人)は、国の出資や補助金で運営されるが、天下りや非効率な事業で「税金の無駄遣い」の象徴とされる。主な批判対象は以下。
日本道路公団(NEXCO関連)
批判の理由:高速道路の建設・維持に多額の税金が投入されるが、利用率の低い路線や過剰なサービスエリア整備が問題。民営化後も天下りや関連財団への資金流出が続く。

具体例:東日本高速道路株式会社の運営費や、道路整備特別措置法に基づく 2/2 する不透明な契約。予算規模は年間約1兆円(関連予算)。

日本年金機構
批判の理由:年金管理の非効率な運用や、個人情報漏洩問題で信頼喪失。運営費(年間約1000億円)が過剰で、システム改修の遅れがコスト増を招く。

具体例:年金データの入力ミスや、過剰な委託契約。デジタル化の遅れで、国民の利便性が低い。

日本貿易振興機構(JETRO)
批判の理由:海外展開支援の成果が不明確で、補助金の効果が疑問視。大企業や既存の輸出企業に偏った支援が中小企業を軽視。

具体例:海外展示会の高額補助や、成果指標の曖昧さ。年間予算は約500億円。

住宅金融支援機構
批判の理由:住宅ローンの保証業務が民間金融機関と重複し、存在意義が薄い。低金利時代に高額な手数料収入を得つつ、税金補助が続く。

具体例:フラット35の運営費や、過剰な広告宣伝。年間予算は約300億円。

国立研究開発法人(例:理化学研究所、産業技術総合研究所)
批判の理由:研究成果の実用化が少なく、予算の多くが人件費や施設維持に消える。複数機関の重複研究で効率性が低い。

具体例:高額な研究設備の未活用や、成果指標の欠如。年間予算は各機関で数百億円規模。

3. 批判の背景と共通点
天下り問題:省庁出身者が特殊法人や関連団体の役員に就任し、高額報酬を得る。2023年の内閣府調査では、天下り役員数は約2000人に上る。

不透明な予算配分:予算の使途や成果が公開されず、国民の監視が及ばない。財務省の予算編成でも、既得権益が優先される。

非効率な運営:デジタル化の遅れや、過剰な人件費、外部委託の不適切な契約が常態化。

利権構造:政治家、官僚、業界団体が癒着し、税金を特定の利益団体に流す。例として、建設業界や医療業界への過剰な補助が挙げられる。

4. 改善の方向性
予算の透明化:使途を公開し、第三者による監査を義務化。スウェーデンの「税金追跡システム」のような仕組みを導入。

統廃合:重複する特殊法人を統合し、不要なものは廃止。例:類似の研究機関を1つにまとめる。

成果評価:補助金や事業にKPI(重要業績評価指標)を設定し、成果が出ない場合は予算削減。

デジタル化:行政手続きや予算管理をオンライン化し、コストと不正を削減。

結論
国土交通省、厚生労働省、経済産業省、農林水産省、総務省、および日本道路公団、日本年金機構、JETRO、住宅金融支援機構、国立研究開発法人などは、予算の無駄遣いや利権絡みの批判が強い。これらの組織の予算は合計で数十兆円に及び、消費税収(約23兆円)に匹敵する規模。血税の有効活用には、透明性向上、統廃合、成果評価の徹底が不可欠だ。