消費税を廃止しつつ、そのデメリット(財政赤字拡大、社会保障縮小、公共サービス低下など)を相殺するには、日本政府の無駄遣いを徹底的に削減し、財政の効率化を図る必要がある。以下に、消費税廃止に伴う約23兆円(2023年度税収)の財源不足を補う可能性のある無駄遣い削減策と、その効果を具体的に挙げる。
1. 公共事業の無駄削減
対象:不要なインフラ整備(過剰な道路、ダム、橋、空港など)や地元政治家の「実績作り」プロジェクト。
問題:国土交通省の公共事業予算(2023年度約7兆円)のうち、費用対効果が低い事業が少なくない。例として、利用率の低い地方空港や過剰な高速道路整備が指摘される。
削減案:
事業評価の厳格化:独立した第三者機関による費用対効果分析を義務化し、採算性の低い事業を中止。
既存インフラの維持優先:新設より老朽化対策に予算をシフト。
効果:日本総合研究所の試算では、公共事業の3割が非効率とされ、約2兆円の削減余地がある。地域経済への影響を最小化するため、削減分を地方交付金に振り替える形で調整可能。
2. 特殊法人・天下り関連の整理
対象:政府系機関、特殊法人、独立行政法人(約400法人)の運営費や補助金。
問題:これらの法人の多くは、官僚の天下り先や非効率な事業の温床。2023年度で約3兆円の国費が投入されるが、存在意義が不明確な団体も多い(例:日本道路公団系の財団)。
削減案:
統廃合:類似機能の法人は統合し、不要なものは廃止。例として、類似の研究機関を1つにまとめる。
天下り禁止:公務員の再就職を規制し、給与や退職金の透明性を確保。
効果:行政改革推進会議の報告では、特殊法人改革で年間1~1.5兆円の削減が可能。天下りによる隠れ補助金も含めれば、2兆円以上の財源捻出が見込める。
3. 補助金の見直し
対象:業界団体や企業への過剰な補助金(農業、エネルギー、観光など)。
問題:経済産業省や農林水産省の補助金(2023年度で約5兆円)のうち、効果が不明確なものや特定企業への利益誘導が批判される。例:過剰な再生エネルギー補助や大企業向けの研究開発支援。
削減案:
成果連動型へ移行:補助金の効果を定量評価し、成果が出ない場合は打ち切り。
中小企業優先:大企業への補助を縮小し、地方の中小企業やスタートアップ支援に振り替え。
効果:補助金の3割削減で約1.5兆円の財源確保が可能。競争力強化に直結しない補助の廃止で、さらなる削減余地も。
4. 行政のデジタル化と効率化
対象:非効率な行政手続き、人件費、システム維持費。
問題:紙ベースの書類処理や重複するITシステムなど、デジタル化の遅れがコスト増を招く。2023年度の地方自治体の人件費やシステム関連費は約10兆円に上る。
削減案:
デジタル化推進:マイナンバー活用で行政手続きを一元化し、窓口業務を削減。
民間委託:単純作業をアウトソーシングし、公務員の定員を適正化。
効果:総務省試算では、デジタル化で年間1~2兆円のコスト削減が可能。エストニアの電子政府モデルを参考にすれば、さらなる効率化が見込める。
5. 政治コストの削減
対象:国会議員の報酬、政党助成金、選挙関連費。
問題:国会議員の歳費(約350億円)や政党助成金(約320億円)は、国民の負担感に比して過剰。議員定数も主要国より多い。
削減案:
議員定数削減:衆参両院の定数を2割削減(衆議院465→372、参議院248→198)。
報酬見直し:議員歳費を欧米並みに引き下げ、経費の透明化を徹底。
助成金廃止:政党助成金を段階的に縮小。
効果:定数削減と報酬見直しで年間約1000億円、助成金廃止でさらに300億円の削減。象徴的な改革として国民の信頼回復にも寄与。
6. 社会保障の効率化
対象:年金、医療、介護の非効率な運用。
問題:社会保障費(2023年度約36兆円)のうち、事務手続きや中間搾取で無駄が生じている。高齢者偏重の制度も若年層の負担感を増大。
削減案:
事務コスト削減:医療費請求や年金支給のデジタル化で中間コストを圧縮。
制度見直し:高所得者への年金支給減額や、過剰な医療検査の抑制。
効果:厚生労働省の試算では、医療・年金の効率化で年間1~2兆円の削減余地。公平性を高めつつ、必要な人への支援を維持可能。
合計効果と課題
削減見込み:上記の施策を組み合わせれば、年間8~10兆円の財源捻出が可能。さらに大胆な改革(例:消費税以外の税制見直しや資産売却)で、消費税廃止分の23兆円に近づける余地はある。