新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するAd26.COV2.Sワクチン(Johnson & Johnson社)の接種により、ギラン・バレー症候群(GBS)の発症リスクがわずかではあるものの統計学的に有意に高くなることが示されました(文献1)。四肢の脱力、しびれ感が急速に全身に広がり進行するGBSは、一般的には風邪や下痢などの症状が発症もとですが、インフルエンザやポリオなどのワクチン接種や、インターフェロン製剤、ペニシラミン、ニューキノロン系抗菌薬、抗ウイルス薬、抗がん剤などの医薬品による副作用で発症することもあります。末梢神経への攻撃を受けても、多くの場合、一過性で終わりますが、ダメージが強い場合は重症になり、完治に時間がかかったり後遺症が残ったりすることもあります。

COVID-19ワクチン接種後のGBSの発症率は、10万人当たり約1人で、アナフィラキシーショック約5人/100万人より若干多い程度ですが、自然発生率と比較しても、ワクチン接種後の報告例の方が約3~4倍多いので、ごく稀に起こることを知っておいた方がよいと思われます。実際、日本でも75件のGBSの疑いが報告されているようです。