東京郊外のマンションで、にこやかに迎えてくれた上野さん。素晴らしい眺望のリビングルームは、主宰する認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の打ち合わせや親しい友人たちが集まるのにぴったりのサイズ感だ。

「東京大学の教授職を退職したのがきっかけです。それまでは東大近くの戸建てでひとり暮らしでした。大学の門が閉まるギリギリまで研究室で粘る仕事中心ライフ。でも、退職したら、職場の近くに住む必要はない。そして、何よりも戸建て暮らしにこりごりしていたからです。それを痛感したのは、趣味のスキーで足を骨折した時ね。階段の上り下りができなくて。約160平米の家でしたが、それでなくても、だんだん部屋の移動が面倒になり、冬は床暖房の効いたフロアにずっといた(笑)。つまり、160平米を使い切れず、広い戸建てに住んでいる理由がなくなったんです」