大阪市が生活保護受給者の代わりに医療費を支払う「医療扶助」により昨年11月~今年1月に診療報酬を受け取った大阪府内の医療機関のうち、患者の95%以上が生活保護受給者だった医療機関が72カ所あり、そのうち34カ所は全患者が受給者だったことが、大阪市の調査で分かった。同市は、不正な請求が行われたケースもあるとみて、調査に乗り出す。
医療扶助は、生活保護受給者が診療や薬の処方を受ける際、市区町村が患者に代わって医療機関に直接医療費を支払う仕組み。大阪市では2008年度の医療扶助は1129億円で、保護費全体の47%を占めた。制度を悪用して診療報酬や薬代を不正に請求するケースが起きており、医療扶助を狙った貧困ビジネスの存在も指摘されている。
大阪市は、府内の約1万3900医療機関が、同市の生活保護受給者を診察した際に社会保険診療報酬支払基金に提出した診療報酬明細書(レセプト)を分析した。
この結果、患者全員が受給者だった34医療機関のうち、最多の259人を診療した医療機関は3カ月で計8159万円の診療報酬を得ていた。72医療機関のなかには、受給者1人あたりの診療報酬がほかの患者より突出して高かったケースもあった。
同市幹部は「受給者が不自然に多かったり、診療報酬が非常に高かったりした医療機関に注目している。受給者に接しているケースワーカーの情報ともつき合わせ、実態を解明したい」と話している。
大阪市内では、同市浪速区の不動産会社が生活保護受給者約300人をアパートに囲い込んで保護費の大半を吸い上げ、同社が実質的に経営していた診療所に受給者を受診させて医療扶助の一部も同社に渡っていたという疑いが出ている。