世上往々中毒事件を惹起している惨事の如きは、料理関係者の堕落が原因である。要は眼で見る色沢、鼻で嗅ぐ香気、口加減に見る味覚等により、善悪良否は判別されるものであるが、経験不充分な者、責任を敢えて感ぜざる者、全然無神経なる者、誠意無き者等によって、中毒原因の根本をつくっていると、私は見る者であって、食品原料を軽く取り扱う陋習を厳しく改めたいと念願している。

出典 『味を知るもの鮮し』