炭疽は炭疽菌によっておこる疾病であり、全世界に存在する人獣共通感染症です。国内の動物の発生は、ほとんどがウシで、感染の機会は農業従事者、獣医師、動物産品処理従事者などにみられます。
我が国における炭疽の発生状況は、過去には昭和40年に岩手県において密殺解体した肉を食べたことによって集団発生した事例があります。しかしそれ以外では昭和48年まで毎年1~2人みられましたが、それ以降平成6年までは1~2人の散発例が数回みられただけで、平成7年以降は現在まで患者発生はみられておりません。
ヒト炭疽には感染経路によって皮膚炭疽、肺炭疽、腸炭疽、髄膜炭疽の4つの主要な病型があります。肺炭疽はヒトからヒトへの感染はないとされています(注:現時点で証明されていない)が、皮膚炭疽はその病変部位から感染する危険性があるともいわれています。