1994年2月12日夜(日本時間)のことです。日米包括協議のためワシントンを訪問中の当時の細川護煕首相から、高輪の衆議院議員宿舎にいた小池百合子議員に電話が入りました。細川氏は困り果てた声でいいます。
「武村さんは問題だっていうんです」

アメリカ政府高官は細川氏に、武村官房長官から北朝鮮に情報が洩れる危険性を指摘しました。つまり武村氏はスパイだということです。細かいやり取りは明かされていませんが、当然のことながら更迭しない限り今後情報は出せないという意味です。

同盟国の首相に対して「あなたの女房役は敵のスパイだ。アメリカなら終身刑になる極悪犯罪者だ。切らないなら同盟国として付き合えない」と実質的に宣告したのですから、アメリカが確たる証拠を持っていたことは間違いありません。

細川氏は内閣改造で武村氏を切ろうとするものの失敗し、94年4月に退陣を表明しました。


小池氏によれば細川氏は「北朝鮮が暴発すれば、今の体制では何もできない。ここは私が身を捨てることで、社会党を斬らなければダメなんです。それで地殻変動を起こすしかないんです」と述べています。