14年に、品川・名古屋間の工事実施計画が認可されると、静岡県はリニア新幹線の開通後、空港近くに新駅を建設する可能性についての本格的な検討を始めた

翌15年には、同県の有識者検討委員会が空港の西側約700メートルに新駅を造る案を作成。16年には、新駅の着工に備えて、前述のように10億円の予算を組んでいる。

 この間、JR東海側は新駅建設の可能性を一貫して否定している。そのため、10億円の16年度予算は1円も使われることはなかった。

まさにその16年度末(17年3月)、大井川の利水者がJR東海に基本協定締結を要望して、南アルプストンネル静岡工区の工事が始まろうとした。すると直後の4月、川勝平太・静岡県知事は、「(湧水の)全量を恒久的かつ確実に戻すことを早期に表明(すること)」と意見を述べて、「湧水の全量戻し」を口にし始めた。その後、県、利水者、JR東海の三者間で基本協定案の大筋合意に至った10月に、突然強い口調でJR東海を批判し始めた。その結果、締結直前の基本協定は覆されたのである。