サラ金大手「武富士」が同社の役員やジャーナリストらに盗聴をしていたとして、クレジット・サラ金問題にとりくむ弁護士有志が十三日、武富士と同社の武井保雄会長らについて、電気通信事業法違反容疑で東京地検に告発状を提出しました。

 告発状は、業務上横領容疑で再逮捕されている同社元法務課長の容疑者(42)が武井会長の指示で、横浜市の調査会社に依頼して二〇〇〇年八月から〇一年二月末ごろまでの間に当時の同社常務(現執行役員)や従業員、ジャーナリストら五人にたいし盗聴を行っていた、としています。

 

元課長は九日、恐喝未遂容疑の勾留理由開示公判で「武井会長の直接の指示で違法な電話盗聴による情報収集にかかわってきた」と意見陳述。会長と盗聴の連絡をとる時は「隠語を取り決めてあり、『耳の件』ということにしていた」などとのべています。

 告発状を提出した弁護士有志は同日記者会見しました。宇都宮健児弁護士は、盗聴の内容を録音した七十一本のテープを元課長が保管していたと明らかにしました。テープは一部がすでに検察庁に提出されています。

 宇都宮弁護士は「業界トップで犯罪行為が行われ、しかも末端職員ではなく(経営)トップ自身が行っているということは許しがたい。プライバシー、通信の秘密は守られなければならず、重大な人権侵害だ」と話しました。武富士は「当社あるいは武井会長が盗聴を指示した事実は全くない」としています。