中国美術の最も特徴的な事がらは,先史,古代,中世,近世という歴史的展開を,同一の民族が担い支えてきたという一貫性である。エジプトやオリエントをはじめ,ギリシアやローマにしても,インドにしても,中国ほど明確かつ壮大に歴史の4段階を踏んではいないし,西欧があたかも美術の世界の王者のようにふるまうのはたかだか近世むしろ現代のことで,その伝統はわずかに中世までさかのぼることができるだけである。