ドナルド・トランプ米大統領を演出上手のショーマンだと一蹴するのは簡単だ。ごく最近では、現職の米大統領として初の北朝鮮訪問を「思いつき」で実行したが、トランプ氏を批判する人々は、単なる政治劇だと切り捨てた。そうした人々の言い分によると、北朝鮮に対し、軍事力の行使も辞さない構えをみせたかと思えば、関係改善の姿勢をアピールするトランプ氏のやり方は、米国の信頼性を損なう結果にしかつながっていない。

 しかし武力行使をちらつかせる「炎と怒り」から、耳目を集める首脳会談まで、トランプ流の外交政策の力学に気を取られて、同大統領が外交の慣例を打ち破って自分の有利に事を運んでいる成果を見落とすべきではない。