そして、判例は、代理監督者について、「客観的に観察して、実際上現実に使用者に代わって事業を監督する地位にある者」をいうと定義しています(最高裁昭和35年4月14日判決)。

 すなわち、代表取締役が現実にあるいは具体的に被用者の選任・監督を担当していた場合にかぎり責任を負うものとし、単に代表取締役であるというだけでは代理監督者には該当しないものと考えられています。

 といいますのも、そもそも代理監督者とは、工場長とか現場監督等のように使用者に代わって事業を監督する者を対象とした規定であって、会社が使用者である場合には、代表取締役は使用者たる会社を代表する者であるとしても、必ずしも会社に代わって事業を監督する者となるとはかぎらないからです。