ファイアパンチ 藤本 タツキ
生まれながら奇跡を使える人間を祝福者と呼んだ。氷の魔女と呼ばれる祝福者によって世界は雪と飢餓と狂気に覆われた。凍えた民は炎を求めた。
少年・アグニと妹のルナは肉体の再生能力に優れた祝福者であり、アグニは自らの腕をルナに切り落とさせては、村の人々に食料として分け与えながら、二人で暮らしていた。
そんなある日、ベヘムドルグ王国の兵士たちが村に押し入り、食料と燃料を強奪しようとする。兵士たちのリーダー格のドマは、貴重な若い労働力は集め、氷の魔女を倒すことを目的としており、老人ばかりの村の数少ない若者のアグニをベヘムドルグに誘う。しかし、村の家々から人肉を見つけると、兵の撤退を指示。ドマはアグニに自分が祝福者であり、人喰い村を無視出来ないと言い残し、村の全てを焼き尽くす。村人の焼死体が転がる村でアグニは死ねずにいた。ドマによる焼け朽ちるまで消えない炎により、体の燃焼と再生が無限に繰り返されるアグニ。想像を絶する痛みに苦しむなか、再生を拒否することで死ぬことができることに気づく。
死んで楽になることを望むが、焼けて苦しむ塵に近いルナに「生きて」と言われる。ドマへの憎しみに駆られ、焼かれる苦しみにもがき続け8年が経ち、再生能力の使い方を覚え、顔の炎の除去に成功し、ドマへの復讐の旅を始める。