貸家着工戸数が増加する一方、2015年半ばくらいから立地的に人気が高いはずの東京23区内、神奈川県内でのアパート(木造、軽量鉄骨造)空室率がじりじりと上昇している。今年6月に不動産調査会社タスが発表した調査によると、東京23区の空室率は約34%に達し、神奈川県ではなんと35%を超える。つまり、3戸に1戸は空室という計算だ。そのため、本来なら最も競争力が高いはずの新築アパートでさえ埋まりにくくなっている。

アパート建設が増えている背景には、いくつかの要因がある。2000年発売の『金持ち父さん貧乏父さん』以来の不動産投資ブームに加えて、都心部での単身世帯の増加や低金利で金融機関がアパートローンに力を入れていることなどが挙げられるが、最も直接的な要因は2015年1月1日からの相続税増税。2016年からはマイナス金利の影響がこれに拍車をかけている。