友人の話。

仲間何人かでキャンプに出かけた時のことだ。

夜も更けて他の者は寝入ってしまい、
火の側に居るのは彼一人だった。

欠伸を噛み殺しながら、そろそろ火の始末をして俺も寝ようかな、
などと考えていると、覚えのない声が話しかけてきた。

「何しているんだい?」

顔を上げると、火を挟んだ向こう側に誰かが座っていた。

ぼんやりとしか見えない、大きな黒い影。

視界に霞でも掛かったかのよう。