夜に出歩くのを俺が嫌ったからってのが、
一番の理由である事は言うまでもない。
玄関を開け菊地を見るなり、二発ぶん殴ってやった。
一発は奴の自責の念を和らげるため、
一発はコンパなんぞに行ってて俺を苛つかせた事への贖罪のめに。
言葉で許されるよりも、殴られた方がすっきりする事もあるしね。
まぁ、二発目は俺の個人的な怒りだが。
菊地に経緯を細かく話し、その晩は二人して興奮したり怖がったり……
今思うと当たり前の日常だなぁ。
菊地からは、あの晩のそれからを聞いた。
あの晩、逃げたした時には、林は明らかにおかしくなっていた。
林の車の中で友達と待っていた菊地には、
まず間違いなくヤバい事になっているって事がすぐに分かったそうだ。
でも、後部座席に飛び乗ってきた林の焦り方は尋常じゃ無かったらしく、
車を出さざるを得なかったらしい。
「反抗したりもたついたりしたら、何されっか分かんなかったんだよ」
菊地の言葉が状況を物語っていた。