「いや、僕にはここの人達みたいには出来ないです。
 本当に皆さん凄いと思います。真似出来そうもないですよ」

「そうじゃなくて、帰っちゃ駄目みたいなのよ」

「え?」

「だってまだ残ってるから」

また顔がひきつった。

結局、本山を降りる事が出来たのは、それから二ヶ月後だった。

実に五ヶ月も居座ってしまった。

多分、こんなに長く、家族でも無い誰かに生活の面倒を見てもらう事は、
この先ないだろう。

篠塚先生から、

「多分もう大丈夫だと思うけど、しばらくの間は月に一度おいでなさい」

と言われた。

アイツが消えたのか、それとも隠れてれのか、
本当のところは分からないからだそうだ。

長かった本山の生活も終って、やっと日常に戻って来た。