厳しい生活の中にいたからなのか、
場所がそうだからなのか、あるいは篠塚先生の話があったからなのか、
恐怖は大分薄れた。

とは言うものの、ふと瞬間にアイツがそばに来てる気がしてかなり怯えたけど。

本山に預けてもらって一ヶ月経った頃、篠塚先生がいらっしゃった。

「あらあら、随分良くなったみたいね」

「えぇ、篠塚先生のおかげですね」

「あれから見えたりした?」

「いや……一回も。多分成仏したかどっかにいったんじゃないですか?
 ここ、本山だし」

「そんな事ないわよ?」

顔がひきつった。