明らかにタチが悪い部類に入るらしいけど、
篠塚先生には悪意は感じられなかったって言っていた。

俺に起きた事は何なのかに対してはこう答えた。

「悪気は無くても強すぎるとこうなっちゃうのよ。あの人ずっと寂しかったのね。
 
 『話したい、触れたい、見て欲しい、気付いて気付いてー』

 って、ずっと思ってたのね。

 義満ちゃんはね、分からないかもしれないけど、暖かいのよ。

 色んな人によく思われてて、

 それがきっと『いいな~。優しそうだな~』って思ったのね。

 だから、自分に気付いてくれた事が、
 嬉しくて仕方なかったんじゃないかしら。

 でもね、義満ちゃんはあの人と比べると全然弱いのね。

 だから、近くに居るだけでも怖くなっちゃって、体が反応しちゃうのね」

篠塚先生は、まるで子供に話すようにゆっくりと、
難しい言葉を使わないように話してくれた。

俺はどうすればいいのか分からなくなったよ。