左側の視界には何かいるってのは分かってた。

チラチラと見えちゃうからね。よせば良いのに、左を向いてしまった。

首から生暖かい血が流れてるのを感じながら。

アイツが立ってた。

体をくの字に曲げて、俺の顔を覗き込んでいた。

くどいけど……訳が解らなかった。起きてることを認められなかった。

此処は寺なのに、目の前には篠塚先生がいるのに……何でなんで何で……

一週間前に見たまんまだった。

アイツの顔が目の前にあった。