そう言えば、篠塚先生の家にはいつもお客さんがいたような気がする。

きっと、祖母のように通っている人が多いんだろう。

奥に通され裏手の玄関から入り進んでいくと、十畳くらいの仏間がある。

篠塚先生は俺の記憶の通り、仏像の前に敷かれた座布団の上に正座していて、
ゆっくりと振り向いたんだ。

祖母「義満ちゃん、もうよかけんね。篠塚先生が見てくれなさるけん」

篠塚先生「久しぶりねぇ。随分立派になって。早いわねぇ」

祖母「篠塚先生、義満ちゃんば大丈夫でしょかね?」

祖父「大丈夫って。そげん言うたかてまだ来たばかりやけん、
   篠塚先生かてよう分からんてさ」

祖母「あんたさんは黙っときなさんてさ。もうあたし心配で心配で仕方なかってさ」

何でだろう……ただ篠塚先生の前に来ただけなの、
にそれまで慌ていた祖父母が落ち着いていた。