両親が二人で出ていったのは、足腰の悪い祖母や、
篠塚先生の家に持っていく荷物を運ぶのを手伝うためだったのだが、
自分で「大丈夫、行って来て」なんて言ったのは、本当に舐めてた証拠だと思う。

久しぶりに眠れた事や、今いる場所が東京・埼玉と随分離れた長崎だった事が、
気を弛めたのかもしれない。

車の後部座席に足をまるめて座り、外をぼーっと眺めていると、急に首に痛みが走った。

今までの痛みと比較にならないほど、言い過ぎかも知れないが激痛が走った。

首に手をやると滑りがあった。

……血が出てた。

指先に付いた血が、否応なしに俺を現実に引き戻した。