当然、母親的にも「もう終わってるのに何で?」ってことで、それを言ったらしい。
そしたら祖母から「でも篠塚先生がまだ残ってるって言うたったい」って。
つまり、俺が知る限り唯一頼れる人物である可能性が高いのが篠塚先生だった。
日も暮れてきて、埼玉の実家があるバス停に着いた頃には、夜9時を回る少し前だった。
都内と違い工場ばかりの町なので、夜9時でも人気は少ない。
バス停から実家までの約20分を足早に歩いた。
人気の無い暗い道に街灯が規則的に並んでいる。
内心、一昨日の事がフラッシュバックしてきてかなり怯えてたが、
幸いにも奴は現れなかった。
が、夜になり涼しくなったからか、俺は自分の身体の異変に気が付いた。
どうも首の付け根辺りが熱い。
伝わりにくいかと思うが、例えるなら、首に紐を巻き付けられて、
左右にずらされているような感じだ。
首に手をやって寒気がした。
熱い。首だけ熱い。しかもヒリヒリしはじめた。
どうも発疹のようなモノがあるようだった。