厚労省も実態調査に乗り出したブラック企業問題は、今や社会的に大きな関心事となっている。もともとブラック企業という言葉は、2000年代後半から若者を中心にインターネットを通じて広がった。その頃から、特に若者の働く環境が悪化していったことが背景にある。
そんな中で2008年にリーマンショックが起き、ますます就職難の時代になった。就職活動が買い手市場になり、強気になった経営者が労働者を使い捨てるような過酷な働き方を強いるという構図が出来上がっていったようだ。
振り返ってみると、昔から日本の企業にはブラック的な要素があったともいえる。ただその分、終身雇用や年功序列の賃金で、社員の生活を保障してきた。現場で社員をじっくり育てる風土もあった。そう考えると、ブラックと呼ばれる企業にはそうした視点がなく、社員をモノ扱いする経営者の感覚が問題視されているといえる。