このように、沢山のメリットがあるオールインワンジェルですが、どのような仕組みで肌に水分補給や保湿の効果をもたらすのでしょうか。
オールインワンジェルは、「ゲル化」という技術が発達したことにより、普及したといわれています。ゲルとは、個体と液体の中間となる性質のもののことをいいます(食べ物でいうならゼリーや寒天等のようなものです)。ゲルは、高分子が結びついて網目状になり、そこに水分が加わると、その網目に引っ掛かって水分が留まり、ゲル状、つまりゼリーのような状態になるわけです。このような状態に持って行くためには「ゲル化剤」というものを使うことがあります。化粧水や保湿クリームにゲル化剤を加えることで、オールインワンジェルが出来ます。
近年では、ゲル化することにより保湿効果が高まるということが分かっており、オールインワンジェルは保湿力の高い化粧品といえます(もちろん効果には個人差があります)。このゲル化剤のなかには、高分子ポリマーから出来ているものもあり、「高分子ポリマーで皮膚を覆うと皮膚呼吸が出来なくなったり、肌に不要な物や雑菌を食べてくれる皮膚に良い菌のはたらきを弱めてしまったりするので、肌に悪影響」といわれている時代もありました。
高分子ポリマーには隙間があるため、肌をぴったり包んでしまうことはなく、皮膚呼吸が出来なくなることはありません。また高分子ポリマーによって肌に良い菌のはたらきを抑えてしまうという説については、これも皮膚呼吸が出来るのと同じ理由で、隙間があるので菌への大きな影響はありません。また、菌が高分子ポリマーをエサとして食べることもなく、そこからも、影響が起こるとは考えにくくなっています。
因みに、オールインワンジェルの定義は特に無く、美容液や保湿クリームをゲル化させたものが「オールインワンジェル」と呼ばれていることが多いです。では、化粧品メーカーが消費者を騙しているかというと、そうではなく、化粧品メーカーが独自の規定でそう呼んでいるというのが事実です。
オールインワン化粧品だけではなく、乳液や化粧水、美容液についても、定義は同じで特に法律で決められおらず、各メーカーが油溶成分や水溶成分等の配合量の違いによって、その呼び名を決めているのです。