冒険が短歌でよみがえる!? 工藤吉生(くどうよしお)によるドラゴンクエスト3短歌まとめ【五七五七七】

これはファミコンのドラゴンクエスト3に出てくるものを短歌にしていった作品です。作者は塔短歌会所属の工藤吉生(くどうよしお)【ツイッターID@mk7911】

くどう@存在しない何かへの憧れ さん

38 PV

冒険の始まりである真っ暗な画面静かにタイトル浮かぶ


4文字で名前を入れよ5文字以上あってもなんとかして4文字で




朝食も洗顔もせず母親に城へと牛のように引かれて


アリアハン城の広間のだだっ広さ 十字キーに凹まされる親指


アリアハン王の指より賜りし50ゴールドの重さ忘れじ


ルイーダの酒場で出会った男性の戦士はおしゃれな名刺持ってた


魔法使い戦士僧侶を連れていく隊列の1ドットたりと乱れず


酒場で待つばかりの日々を想像す勇者にヒャドのごとき寒気は


ずっしりと感じた50ゴールドが皮の帽子ひとつにも足りぬ


薬草を買っときますか ホイミならできます僧侶はこの時敬語


町を出れば時間は動く太陽は草原を青く青く照らして



恒例のスライムであるスライムのくせにこのやろなんだこのやろ


大烏につつき殺され死後永くつれ回される町びとの頭


棍棒を振り回しつつ戦士の目は勇者の持った銅のつるぎに


魔法使い放ったメラがスライムと共に地面を焦がす昼過ぎ


切り傷をホイミがふさいでゆく様を愛するがゆえまた傷はつく

棺桶に仲間を入れる埋葬をするつもりなぞいささかもなく


教会で死んだ仲間が目を覚ましひとつ大きな伸びを見せたり


ニフラムにかかるスライム光へと包まれながら目を閉じてゆく



一本の角を神から与えられちょっと調子をこいた兎よ


邪悪なる者を刺すのにぴったりな聖なるナイフで剥いた林檎だ


くさりがま戦士に買えば「これやっぱ使いづらい」とぼやく草原


巨大なる岩を押してる村人が佇んでいるだけに見える日


盗賊はとうぞくのカギを使わずに侵入するから盗賊なんだ


じんめんちょうの見せるまぼろし限りなく増えた人人面面鳥鳥


フロッガーの空を舞う舌通常は折り畳まれて口中にあり


さそりばち仲間を呼べばさそりばちその呼ぶ仲間がまたさそりばち


いきどおるバブルスライムぐつぐつと毒は目に良い色をしている


灰色のまほうつかいが倒されて登録者の減るルイーダ酒場


夜行性アルミラージのラリホーのヨルトハネムルタメノクラヤミ




いざないの洞窟

壁壊すまほうのたまは爆薬なり科学を魔法と名付けし中世


旅のとびら視界を歪め子守歌につつまれ眠るあの日のように


いざないの洞窟ぬけてロマリアの闘技場へといざなわれゆく




ロマリア王おうのかんむり失えば日に日に似合う高級カツラ


闘技場「おかえりですね!」と言われれば「おかえりなさい」を聞きたい夕べ


となえればさまようよろい既に亡くホイミスライムやわらかいこえ


もうすでに冒されたような色をして冒そうとするポイズントード


逃げ隠れする必要がなくなればオシャレは始まるキャタピラーから


ボミオスで戦士の動きは遅くなりアニマルゾンビゆっく り ち ぎ れ


こころまで裸にされた気がするわルカニちょっぴりキケンな呪文……



てつのやり、てつのよろいで戦闘す戦士は戦死に近い先頭


毒針に急所をつかれ一瞬で消えてしまったガザーブのむら


キラービー前足を上げ はずかしい姿勢のままでしびれたギズモ


疑えば疑うほどに疑わしいおばけキノコの垂れ目で見れば


あやしいと思えばあやしいかげでありせつないと思えばせつないかげのA、B、


おうごんのカンダタこぶん 見てごらん夕陽が海にゆっくり沈む


カンダタがかんむりかぶりかけあえばシャンパーニュの塔ぬれてあわだつ



ゴミ捨て場2倍のくずを散らかしてデスフラッター飛び立つ朝は


朝焼けに空が染まればノアニールむらびと夢にカーテンを開け


ルカナンにもろく崩れる肉体へ向いたバリイドドッグの眼球


人体を支えんがため蝙蝠の羽根を選びしヴァンパイアかな




甘い息吸って眠れば「マタンゴは意外にイケる!」と喰う夢を見る


Ningen ga katsute eruhu ni sitatoiu
Bankou ni waga
Manako tibashiru.


目の覚めたノアニール村の奥さんがランプのかさのほこり拭き取る




アッサラーム

膝を折りニヤニヤ笑う姿からあばれザル暴れるさま知れず


上空をキャットフライが横切ればアッサラームの昼に舞う砂


128ゴールドの薬草に「わたしのともだち」首吊れと言う


砂の数ほどの男がゆめをみて夢がついえてぱふぱふの宵




オアシスとイシスは似てるソクラスのため太陽も地球もまわる


砂漠での夜は寒くて腕輪には瞬きの間に星降りそそぐ




たたかうもじゅもんも失敗する者を眺めてわらいぶくろのほっぺ


貫禄の腹よ大王ガマ様が眠るにふさわしいピラミッド


まほうのカギ使って扉を開けるたび魔法は魔法じゃなくなっていく


みかわしのふくを吹き過ぐ春風にいのりのゆびわの破片が混じる




ドルイドのたるんだ口に濁音の二つくぐもり巻き起こるバギ


ポルトガは日照り 駿馬に尻を出す淫乱をんなサブリナありき




マヌーサにつつまれつつもつつぬけのデスジャッカルのあばら越しの薔薇


えにくすが きよめのいずみに たちいらば ち にそまる あやめたるいのちの。


墓石を持ち上げる力足りぬままもう一度死ぬくさったしたい




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