両軍ベンチとナイン、あるいはスタンドのファンも“だまされた”かもしれない。1-1の三回2死二塁、DeNA・ブランコの打球が右翼手・長野の前にポトリと落ちた。巨人としては長野の強肩にかけるしかない場面。球場中の視線が本塁に集まる中、一塁塁審から「アウト」が宣告された。
バックホームの中継に入ったロペスが、ブランコの到達前に一塁ベースを踏み、右ゴロが成立。二塁走者の得点も認められなかった。基本通りの低く鋭いボールを中継に投げた長野と、「アウトにするなら一塁と思った」というロペスの機転。原監督も「1点取ったことよりも大きかった」と絶賛のビッグプレーだった。
この日の巨人は攻守にそつがなかった。五回無死一塁では村田の猛チャージで相手の犠打を併殺で阻止。2-1と勝ち越した七回には長野が鮮やかなセーフティースクイズを決め、大きな追加点を挙げた。
「僅差になればなるほど、(一つ一つのプレーを)きっちりやることが大事」と川相ヘッドコーチは語る。全力疾走を怠り、余計なアウトを重ねたDeNAとは対照的だった。
高い個人能力に目を奪われがちだが、チームとしての緻密さ、そつのなさも巨人の強さ。実に8度目の5連勝で、連覇へのマジックは「7」となった。(森本利優)