正式名称はインフレーション・ターゲティング(inflation targeting)。中長期的なインフレ率の目標値(あるいは目標幅)を数値として明示する、金融政策運営の枠組みのことをいう。中央銀行の独立性などの前提下で、政策運営の透明性を高めることを目的としている。
世界で初めてインフレターゲットを導入したのはニュージーランドで、1990年にさかのぼります
一国の中央銀行が金融政策の中心的な目標を「物価の安定」と定めたうえで、中期的な(約2、3年)物価上昇率(インフレ率)の目標値または範囲を公表し、その達成のために金融政策を講じるという金融政策の枠組みを「インフレターゲット」といいます。
英国、オーストラリアなどがインフレ抑制のために導入していますが、日本のようにデフレ脱却を目指して導入している国はありません。
インフレ率(物価上昇率)を政府や中央銀行が適正とされる水準に設定し、その実現を図るように金融政策を行うこと。
ほとんどの場合は、インフレ率が高くなりすぎることを防止し、目標値まで下げるよう誘導するが、その逆の場合もある。
物価上昇率に対して政府・中央銀行が一定の範囲の目標を定め、それに収まるように金融政策を行うこと。
手形、国債、社債、コマーシャル・ペーパーなどの買入れや売出しで市中の通貨量を調節し、インフレ目標に近づける手法をとる。
中央銀行がインフレ率(物価上昇率)の数値目標を設け、市中の通貨量を制御することで緩やかなインフレを起こし、安定的な経済成長につなげる金融政策。
日本で論議され始めたのは2000年ころのことです。経済がデフレのさなかにあったこのころ、中央銀行である日銀が市場に対してデフレ阻止の強い意思を明らかにすることによる効果を狙った金融政策の必要性が騒がれ始めました。
この定義の中で重要な言葉が二つあります。一つは「中期的」で、おおよそ1~2年間を指します。金融政策が発動されると、それが企業や家計の行動を変化させ、徐々に実体経済に影響が及んできますが、政策の効果が実際の形として大きく表れてくるには1年程度の時間を要すると言われています。
もう一つは「枠組み(フレームワーク)」です。インフレ目標政策は何が何でも数値目標を達成しなければならないという「義務(ルール)」ではなく、中央銀行が政策の実施にある程度の柔軟性を持てるようないわゆる「枠組み」であるという点が特徴的です。
「デフレが不況の主因だ」というのがインフレターゲット論の前提だ。
インフレターゲット論は、その中で、まずデフレを止めよう、という考え方だと言える。
バブル崩壊後の12年間、相次ぐ景気対策と経済低迷による税収不足で、日本の政府債務残高は約700兆円(国内総生産の約1.4倍)に達している。
何かしなければ景気は良くならない。財政政策(公共事業や減税)による景気刺激は、膨らんだ財政赤字を考えても、もう無理だから、その肩代わりを日銀の金融緩和でしてもらいたい、というのがインフレターゲット論が出てきた背景だ。
中央銀行の独立性などの前提下で、政策運営透明性を高めることを目的としています。
一般的に期待インフレ率は為替やエネルギー価格、賃金の上昇などの経済情勢の変化で大きく左右されることであり、中央銀行が一定の目処を持った金融政策を運営することで、市場の過剰なインフレ期待を抑制しデフレ経済を克服することが期待されています。
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