起業家には二つのタイプがある。一つは会社立ち上げ後、とことん大きくすることにやりがいを感じ、オーナー経営者として君臨し続けるタイプ、もう一つは、会社立ち上げは好きでやりがいを感じるものの、一定の成長をした後は興味を失い、一度売却してまた新しい会社を興したい、あるいは、そのままアーリーリタイアしたい、というタイプである。
会社売却は可能?売却社が増えている理由について
会社の売却は、近年注目を集めるビジネス手法です。
会社売却のプロなる人物が一時期話題になっていたことからも、その傾向は窺えます。
いったい、なぜ会社売却が増えてきているのでしょうか。
せっかく会社を作ったにもかかわらず、なぜ売却という手段が選ばれているのでしょうか。
もちろん、そうした風潮がみられるのはそこにメリットがあるからこそです。
会社売却が増える理由について、考えていきましょう。
アメリカの起業家の多くは、いったん起業したビジネスを一生の仕事とは考えておらず、起業し、自分の会社が高収益を上げるようになったら、その会社を売却して、創業者利益を手にし、次のもっと可能性の大きなビジネスにチャレンジしようとする。これがいわゆる「※シリアル・アントレプレナー(連続起業家)」と呼ばれる人たちだ。
2つ目の理由は、会社の存続と雇用の継続を望むこと。利益の得られる会社であり続けるために、後継者を第三者に譲る・グループ企業の傘下に入る・出資を受けるなどをして、業績を保ち、会社と働く社員の職が守られるよう対策を講じます。
会社売却と聞くと、一般的にはネガティブな決断に思えるかもしれません。
ですが実際はポジティブな理由でおこなっているケースも多く、アメリカではひとつのビジネススタイルとして確立されているほどです。
そんな考えが、近年日本でも広がりつつあるのです。
会社を売却することには、多くのメリットが伴います。
これこそが、アメリカで多くの人が実践している理由です。
もちろんそんな魅力は、日本でおこなう場合でも期待できます。
会社売却のメリットについて、知っていきましょう。
会社売却をする最大のメリットは、自分の会社の事業を継続できるということです。廃業してしまうと、創業から培ってきた技術やノウハウは誰にも受け継がれずに廃れていきます。しかし、売却すれば買手企業の中で伝承していくことが可能となるのです。
会社売却のメリットはなんといっても売却益を得られることです。会社売却は株式譲渡という形で行われますが会社の資産やこれからのキャッシュフローなどの観点から価値が決まるため大きなお金を手にできます。
会社売却をすると債務まで買い手企業に引き受けてもらえます。中小企業の多くは借入金の連帯保証を社長個人がしていることを考えれば、良いタイミングでの会社売却は大きなリスクヘッジになるといえます。
上記で紹介したのは、会社単位でのメリットです。
続いて、主に経営者個人が体感できるメリットについてご紹介します。
会社規模のものと比べると些細に感じるものもあるかもしれませんが、忙しい経営者にとっては、重要な意味を持ちます。
賞賛される
会社を売却することは、ライブドアや村上ファンドのイメージで悪い印象が、日本ではまだ残っています。しかし、本来会社を売却するということは、社会にとっていい影響を与えることです。ベンチャーであれば、イノベーションの一助に。中小企業であれば雇用と伝統を次代に引き継げるなど良いことが多いのです。
休みができる
会社を売却すると、日々の仕事から解放され、時間ができます。今までないがしろにしてきた家族との時間も取れるようになりますし、好きな趣味にも没頭できます。農家を始めたりする経営者も多いようです。
経営者は大きな収入を得ることができるかもしれませんが、その分責任も重大です。
それだけに、経営者としての人生は充実しても、いち個人としての生活はないがしろにしてしまいがちです。
会社売却をおこなえば、これまで楽しめなかったいち個人としての幸せに落ち着いて目を向けることができます。
会社売却は、経営者個人の一存だけで検討できるものでもありません。
多くの社員や取引先、世間への影響なども大きいです。
デメリット面についても、しっかり把握しておくべきでしょう。
M&Aによって経営体制が一気に変わってしまうと、従業員や取引先との関係に悪影響を与えてしまうかもしれません。
従業員の動揺や取引先との良好な関係を継続させるために、M&A成立の後も引継期間というものを設定することがほとんどです。
期間は各企業の状況によって違いますが、数ヶ月、数年に及ぶかもれないため、売却した後でも何らかの形で引継のための拘束期間が発生します。
原則として、これまでのようなやり方での意思決定ができなくなります。
特に社内の人事や、売上や利益の目標金額、それにともなう各種費用の予算等について、買収先の意向が一定以上入ることになります。
会社売却自体のデメリットではないが、会社売却を決めていざ相手探しを行った場合も、こちらの全て希望条件(売却価格、会社売却後の経営者の処遇、従業員の雇用等)を全て満たす買い手を見つけることは簡単ではありません。
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