前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。早期に発見すれば治癒することが可能です。また、多くの場合比較的ゆっくり進行します。
前立腺は男性のみにある臓器です。膀胱の下に位置し、尿道のまわりを取り囲んでいます。栗の実のような形をしています。
前立腺は精液の一部に含まれる前立腺液をつくっています。前立腺液には、PSAというタンパク質が含まれています。ほとんどのPSAは前立腺から精液中に分泌されますが、ごく一部は血液中に取り込まれます。
早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。しかし、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります。
進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みがみられることがあります。
前立腺がんは、初期のステージでは自覚症状がほとんどないと言われています。そのため、自覚できるような症状が現れてくるころには、末期がんの状態にまで進行している…という可能性が。
前立腺がんの末期になると、骨への転移(骨転移)が高頻度で生じます。 その症状としては、腰に感じる強い痛みや下半身麻痺、骨折などが挙げられます。
前立腺がんは進行するに従って臓器や組織に広がってきます。さらに進行すると、離れた組織や臓器に転移していきますが、特に転移しやすいのが骨です(これを進行転移がんと呼びます)。前立腺がんの転移の約80 %は骨に起こるとみられています。骨のなかでも背骨、骨盤、大腿骨の転移が多くみられます。
前立腺がんが最も転移しやすいのは骨ですが、それに次いで多いのがリンパ節です(進行転移がんと呼びます)。リンパ液が流れるリンパ管は、血管と同様に全身に張り巡らされています。リンパ節とは、リンパ管のところどころにある膨らんだ部分で、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を処理する免疫機構の一端を担っています。
骨に転移した前立腺がんは、ほとんど初期症状がありません。転移に気づかないまま癌が進行してしまうと癌細胞が骨の中の神経を刺激し、痛みや麻痺といった症状を起こします。なかには、骨のカルシウムが血液中に流れ出る「高カルシウム血症」を引き起こすこともあり、食欲不振や吐き気、意識障害などが起こることも。また、癌が転移している骨は徐々に弱くなっていくので、些細な負荷で骨折しやすくなります。
前立腺がんがリンパ節へ転移するとリンパの流れが悪くなり、下半身がむくむようになります。他にもリンパ管が炎症を起こし痺れといった症状が出たり、排尿が困難になったりします。転移がさらに悪化した場合は下半身麻痺を引き起こす危険性もあります。
- 1
- 2