使用者責任対策として賠償責任保険について知っておこう

使用者責任とは、従業員が問題を起こした場合に、経営者などが責任に問われることを言います。経済的にもリスクですし、風評がたってしまう可能性などもあります。今回は使用者責任対策として有効な賠償責任保険について解説します。

FC2USER789266NST さん

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使用者責任とは?

企業には従業員の行為に対して責任を負う使用者責任があります。使用者責任とは、業務またはそれに付随することで、第三者に危害を加えた場合、被害者に対して事業主が賠償責任を取ることです。

従業員同士のセクハラ・マタハラや、交通事故や障害事件で外部の人にケガを負わたり、職権を乱用して詐欺や不正行為を働いたりして第三者に損害を与えると、被害者は企業に対して損害賠償を請求することができます。

業務にかかわる場で従業員が問題を起こした場合に雇い主がその責任を負わなければならないことを使用者責任と言います。

使用者責任は特殊ケースで、直接の加害者だけでなく、加害者を雇用している会社も責任を負うものです。
この場合、会社は加害者の使用者という形になり責任が発生するのです。
使用者責任が認められるケースは次の3つの条件を満たす場合です。

① 被用者の行為に対して不法行為が成立すること
② 使用者と被傭者の間に使用関係が認められること
③ 被用者の行為が使用者の事業執行に伴って行われたもの
これらの条件を満たす場合、被害者は加害者の使用者に対して損害賠償を請求することが可能です。

賠償責任保険に入っておこう

政府労災保険法等で給付の対象となる貴社(以下「被保険者」といいます。)の従業員(以下「被用者」といいます。)の労
働災害について、被保険者が被災した被用者もしくはその遺族から損害賠償請求を受け、被保険者が法律上の損害賠償責任
を負った場合に負担する損害賠償金および賠償問題解決のために要した費用を補償する保険(労働災害総合保険 使用者賠
償責任条項)です。

出典 el

政府労災保険等の対象となる被保険者の被用者の労働災害について、被保険者が被災した被用者もしくはその遺族から損害賠償請求
を受け、法律上の損害賠償責任を負うことがあります。このような場合に被保険者が負担する損害賠償金および賠償問題解決のため
に要した費用を補償するための保険です。

出典 el

使用者責任に問われた場合、賠償責任保険に入っていると、損害を補償してくれます。

近年、従業員に対する賠償金の額は年々増加傾向で、最悪の場合、億単位になります。場合によっては多額の賠償金が支払えず、倒産してしまうリスクがあります。

そして、そのような場合に備えられる最も有効な手段が「使用者賠償責任保険」です。迅速な対応で従業員に対する責任を果たすことが、今後の会社経営を守ることに繋がるのです。

昨今使用者責任に関する問題は件数も金額も大きくなってきています。保険に入っておくのが賢明と言えるでしょう。

賠償責任保険に入るメリット

賠償責任保険に入っておくことには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

■経済的ダメージの軽減

賠償金の額は、尊い人命に関わる問題ですから、多額になるのもやむを得ない面があります。それは中小企業か大企業かは関係ありません。これらの多額の賠償費用を会社のお金から捻出するためには、大変な額の売上が必要になります。効率よく賄うためには、使用者賠償責任保険に加入する以外ありません。

賠償額または和解額は、億単位になる判例も多くなっています。

従業員が死亡した場合は政府労災では約1,000万円の補償がありますが、損害賠償については会社負担です。こうした事業リスクの点からも使用者賠償責任保険に加入するのは企業にとってリスクマネジメントの一環といえるでしょう。

損害は億単位になることもあります。中小企業にとっては大打撃となり、一気に経営が傾いてしまう可能性があります。保険には行っておけばダメージは最小限で済みます。

■企業のイメージダウンの軽減

雇用に関する問題がある会社では、職場の雰囲気が悪くなり、社員の働くモチベーションは下がり、結果として会社に売り上げはダウンします。損害賠償責任問題にまで発展すれば、訴訟を起こされた事実が社会に知れ渡ることで企業イメージはダウンし、賠償責任金など直接的な被害も発生します。

イメージダウンの原因にもよりますが、不祥事によって社員や顧客、株主などステークホルダに対して何らかの損失を被らせた場合、経営者として十分な説明責任を果たす必要があるでしょう。できるだけ早期に説明をおこない丁寧に対応することが、企業が被る損害額を最小限に抑えることにもつながります。

使用者責任を問われる場面では、できる限り早期の対応がイメージダウンを最小限に食い止めることに役立ちます。
保険によって保障までがスムーズになるため、怠慢という最悪のレッテルを貼られることは免れるでしょう。

賠償責任保険を取り扱う保険会社

■三井住友海上

「製造・飲食業向け」「建築業用」など、業種によって様々な保険を用意しています。

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