動作が遅くなる、手足がふるえるなどの運動症状がみられるパーキンソン病。脳内のドーパミンという物質の減少によって起こりますが、ドーパミンは年齢を重ねるごとに減っていくので、高齢になるほど発症しやすくなります。
パーキンソン病の治療法とは
パーキンソンに関しては、残念ながら改善が期待できる明確な治療法はありません。ただ、進行を遅らせたり症状を緩和することは可能です。以下にまとめているので参考にしてください。
L-ドパは、ドパミンの前駆物質(一つ手前の化合物)で、パーキンソン病の脳で不足しているドパミンを補うためのお薬です。ドパミンそのものは血液から脳に入るための関所(血液脳関門)を通過できないため、服薬しても効果を示しません。一方、L-ドパは、血液脳関門を通過して脳内のドパミン神経に取り込まれてドパミンに変わり、蓄えられ、神経から遊離されて症状を改善します。
パーキンソン病治療の中心的な薬剤で、パーキンソン病に最も有効といわれています。
L-ドパはよく効くお薬ですが、服薬したあと血液中にとどまる時間が1時間程度と短いのが欠点だそうです。
レボドパの次に効果の強い薬です。運動合併症の副作用はほとんどありませんが、幻覚(特に幻視)や妄想などの精神症状、首下がりや腰曲がりなどの姿勢異常が出現することがあります。日中の眠気や突発睡眠(眠気などの予兆がなく眠ってしまう)が起こることがあるため、自動車運転は禁止になります。
アポモルヒネ塩酸塩は、進行性のパーキンソン病に伴う運動性低下のオフ症状(ウェアリングオフ現象、予測できないオン・オフ症状)を一時的に改善するレスキュー薬として米国において唯一承認されている有効成分ですが、皮下投与の注射剤しか承認されていません。
注射によって投与する薬です。実際にアメリカでは、パーキンソン病患者さんのオフ症状を速やかに改善することが期待されて開発されました。パーキンソン病に伴うオフ症状の治療について1日5回までの服用による臨床試験が行われています。
ドパミン系が低下することで相対的に優位になった脳内のコリン系を抑制するために使用します。古くからアーテン、アネキトン錠などがあります。口渇・便秘・物忘れなどの副作用があります。
薬物療法と同じくらい大切な治療法があります。それは運動です。パーキンソン病では動作が小さくなり、姿勢が前かがみになり、小声になりやすいので、早い時期から「大きく」「大げさに」動き、「お腹の底から大声を出す」ことが大切です。顎を引いて背筋を伸ばし、かかとから着地し、手を大きく振って歩くなど、専門医や理学療法士から具体的な指導を受け、姿勢が前かがみにならないよう予防することが大事です。
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