ダイアモックス®は,炭酸脱水酵素を阻害することで機能する薬剤です.
炭酸脱水酵素は簡単にいうと,二酸化炭素と炭酸水素イオンとを相互変換することで,血液やほかの組織の酸塩基平衡を維持し,組織から二酸化炭素を運び出す働きをしています.
アセタゾラミドは主として近位尿細管で作用し、炭酸脱水酵素を阻害することによりHCO−3の再吸収を抑制する。
利尿作用を持つが、主として利尿薬としてではなく緑内障の治療薬として用いる。毛様体上皮に作用して房水の産生を減少させる事による。
炭酸脱水酵素抑制作用等による代謝性アシドーシスや動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の増加が呼吸機能を促進し、急性低酸素症や浮腫を改善すると考えられる。
炭酸脱水酵素を阻害することで、血中の酸素量を増やしアシドーシスや睡眠時無呼吸を改善、眼圧低下、てんかんの発作の抑制、尿量を増やしてむくみを緩和、メニエル症候群の改善、月経前緊張症の緩解などの作用を示します。
通常、緑内障、てんかん、肺気腫における呼吸性アシドーシス、心性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、メニエル病およびメニエル症候群、睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられます。
高山病の発生を、ある程度予防するという使い方がなされる例も見られる。
腎臓で炭酸脱水素酵素を阻害したために代謝性アシドーシスが起こった結果(副作用が起こった結果)、代償的に呼吸性アルカローシス(肺から炭酸を捨てることで血液のpHを上げようとすること)が起こる、つまり過換気気味となりがちである。
高地に行く12~24時間前から服用し始め、登山中も8~12時間ごとに服用を継続するのが一般的である。
ただし、利尿作用があるため、脱水傾向にある人やスルホンアミド系薬剤にアレルギーのある人には禁忌である。
高山病は低酸素に起因するので,ダイアモックス®の呼吸中枢刺激作用で酸素が多く取り込まれます.この作用で,例えば肺気腫で呼吸性アシドーシスが遷延する場合には,その治療薬として用いられます.
高山病により起きた肺水腫や脳浮腫を利尿作用で軽減させることが目的ではなく,呼吸中枢刺激作用に期待して使用される.山岳救助隊員やヘリ救急隊員は実際にダイアモックスを服用することがある.
空気の薄いところに上がったからには呼吸をがんばって空気(酸素)を沢山取り入れたいところです。けれど実際には、呼吸の中枢(延髄にあります)が答えてくれずさぼっている場合が多い(馴化がうまくいかない)。ここぞダイアモックスの出番です。
低酸素状態に置かれたときに発生する症候群。
ダイアモックス以外にもニフェジピンが低酸素性肺血管収縮を抑制し、肺浮腫を改善するという報告や、デキサメタゾンが血液脳関門の防御・修復により脳血管透過性亢進を抑制し、脳浮腫を改善させるという報告もある。
睡眠時無呼吸症候群に対して睡眠中の無呼吸数を減少させ、無呼吸により悪化した睡眠構築、血液ガス、種々の自覚症状を改善する
炭酸脱水酵素は腎上皮、赤血球、脳、毛様体上皮等に存在し、生体内で、炭酸ガスと水から炭酸を生成する可逆反応(CO2+H2O←→H2CO3)にあずかる酵素である。アセタゾラミドはこの酵素を特異的に抑制する。
- 1