心不全、肝硬変、腎疾患による浮腫の治療に用いられるループ利尿薬の一つである。降圧を目的とした処方も行われる。
ヘンレ係蹄(ヘンレループ)の太い上行脚の管腔側の膜のNa+・K+・2Cl-共輸送担体(NKCC2)を抑制することにより、NaCl、K+の再吸収を抑制し、速効性かつ強力な利尿作用を示すが、作用時間も短い。
Tmaxが1~2hrと、速効性である。
ラシックス錠(成分名:フロセミド)の半減期(体内の薬の量が半分になる時間)は、30分くらいと短く、効果の持続時間は約6時間である。
うっ血性心不全に対して使用されるループ利尿剤です。前負荷を軽減する働きがあり、心原性浮腫の改善のために使用されたり、慢性心不全の心負荷の軽減またはナトリウム感受性の高血圧の治療に使用されたりします。
利尿による体内血液量を減少させて、心臓の負担を減らす目的を持つ薬です。
ヘンレループでのナトリウム利尿が増加することで,遠位尿細管,集合管へのナトリウム負荷が大きくなるため,特に集合管ではナトリウムの再吸収と交換でカリウム,水素イオン(H+)の尿中排泄が増し,低カリウム血症,代謝性アルカローシスを誘発します。
連用すると電解質失調がおこることがあるので,定期的に血液や電解質(ナトリウム,カリウムなど)の検査を受ける必要があります。
低K血症を防ぐ目的で、スピロノラクトンやグルコン酸カリウムが併用されることも多い。
副作用として、低カリウム血症や低ナトリウム血症、低カリウム血症から生じるインスリンの分泌障害による高血糖、近位尿細管により尿酸の再吸収が促進されて生じる高尿酸血症など、さまざまな副作用に注意が必要です。
利尿作用により血液が濃縮されるため、血糖値や尿酸値が上昇しやすい。
ループ利尿薬は有機酸であり、尿酸と同じトランスポーターを競合するために尿酸排泄が減少する。このためサイアザイドと同様に痛風発作を起こすリスクを高めていることが報告されている。
なんらかの原因で血清中のカリウム濃度が低下してしまう電解質代謝異常症のひとつで、臨床的には血清カリウム濃度が3.5mEq/Lを下回ることである。
低カリウム血症の症状としては、多尿、高血圧、疲労、筋力低下、神経機能の低下、不安、イライラ、抑うつ、睡眠障害、虚弱、便秘、乾燥肌などがある。
脱塩利尿剤で,特に一過性かつ迅速に,強力な利尿作用を発揮する特徴をそなえており,上部尿路結石排出の促進に極めて好都合と考えられる。
血圧を下げてくれる働きもありますので、高血圧症、悪性高血圧、尿路結石排出促進の治療に用いられています。
ただし、悪性高血圧に用いる場合には、通常、他の降圧剤と併用すること。
効能又は効果/用法及び用量
高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫、尿路結石排出促進
フロセミドを経口で投与した場合その吸収率は約50%なので静注20mgと同様の作用を期待するなら経口40mgが必要になる。一方、ブメタニドとトルセミドの経口吸収率はほぼ100%とされている。
また浮腫性疾患では腸管浮腫が起きている場合が多くこの経口吸収量は低下する。このため重症例では静注薬を用いる必要がある。一方、ブメタニドとトラセミドの経口吸収率はほぼ100%とされている。
- 1