【横山】先ほども述べたように、景気回復の恩恵を受けるには、まずは国内の株式や不動産への投資が考えられます。不動産を安定した収益源として考えるなら、賃貸住宅経営などの収益不動産が一般的です。不動産は株式などと比べて値動きのブレ幅が小さいため、資金計画を立てやすいという利点がありますね。ただ不動産は20年、30年を見据えた長期運用となる資産ですので、ローンを組む際はしっかりとした資金計画が求められます。物件価格や投資利回りも大切ですが、長い間住まいとして利用するのですから、耐震性や快適性、環境性能といった建物の施工品質もおろそかにはできません。そして将来はその不動産を家族に引き継ぐのか、売却して老後資金の原資とするのか、早い段階から出口戦略を検討しておくと、いざというときに慌てずにすみます。

さらに資産運用の成長力や安定性を考えるなら、世界経済の中心である米国や高い成長が見込まれる新興国など、海外へ投資資金を振り向ける国際分散投資が、これからの投資戦略のスタンダードといえるでしょう。

とはいえ、投資経験の浅い個人投資家が海外、それも新興国の株式にいきなり投資するとなると、ハードルを感じてしまうかもしれません。そこで活用したいのが、投資信託やCFD(差金決済取引)などの投資ツールです。例えばCFDを使えば、欧米や中国など企業の個別銘柄や、金や原油などのコモディティを運用に組み入れるのも容易になります。ただしこれらの資産は一般的に値動きの幅も大きいので、一度にまとまった資産を投じるのではなく、少額から組み入れるのがおすすめです。

投資信託なら専門家が海外の個別銘柄の業績やマクロの経済環境などを勘案したうえでファンドを構成するので、海外の資産でも情報収集や銘柄選択などに苦労することなく、国際分散投資に役立ちます。しかし組成が複雑で値動きの仕組みを理解するのが難しいファンドは、結果的に成り行きまかせの運用に陥りがち。投資経験の浅いうちは、できるだけ値動きを理解しやすいファンドから組み入れたほうがベター。その点、インデックス型ファンドはベンチマークの動きを追っていれば、おおよその値動きが分かるシンプルさが魅力です。