しかし当の選手たちにその結果を伝えると、成長めざましい一流選手ほど、「それが何だ? 俺にはあるんだよ」と、その話を一蹴したそうです。

これは統計や学問がどうあれ、自分の経験値を信じ、自信と信念をもって取り組む人は強いということを示しています。実際、貧乏な経済学者やファイナンシャルプランナーは大勢いますから、学者の言うことなんて、あてにはならない。ああ、これはほとんど自己否定ですね(笑)。

知識より心を強く持つことがツキを呼ぶ、そんなふうに捉えてもいいと思います。書店だって8月の暑いときには本が売れないと嘆いていますが、それでも諦めずに額に汗して売ろうとすれば売れるかもしれないじゃないですか。統計よりも自分に合った「サクセス・ルーティン」を確立することが大事なんです。

例えばマリナーズのイチロー選手も、試合のある日は、朝ご飯に何を食べるかから始まって、打席に立つ前に素振りを何回するか、打席の入り方をどうするかとか、ルーティンを非常に細かく決めているそうです。ここで重要なのは、自分が成功できる条件を、1つではなく複数用意しておくこと。唯一無二の必勝法なんてそう簡単に見つかるものじゃないですから、心身ともに自分のコンディションを整える方法をしっかり研究し、複数の方法を組み合わせておくといい。

日常語で「価値観」というと多種多様な信念を指しますが、心理学用語の価値観はそれとは少し異なり、「こうやったらうまくいく」という信念を指します。そしてその価値観は3種類に分類されます。1つは「方略主義」。つまりストラテジーを整えて要領よく進めれば成功するという信念。2つ目は「物量主義」で、打てなかったら素振りの回数を増やす、仕事を受注したかったら客先に日参するというコツコツ型。3つ目は「朱に交われば赤くなる」の例えで示される「環境主義」で、いい学校に通ったり、成功している人たちの中に身を置けば、自分もサクセスに近づけるという考え方です。