「海洋強国化」を進める中国の習近平シージンピン政権が、
ベトナム、フィリピンなどと
領有権を争う南シナ海の島や岩礁で、
埋め立てや飛行場の新設・拡張など実効支配を
一段と強化する動きを強めている。
スプラトリー(南沙)諸島で中国が支配する七つの岩礁のうち、
六つで礁を島に拡張する「人工島化」が進行中――。
中国誌・中国新聞週刊(電子版)は10月17日、現状をこう報じた。
その一つファイアリー・クロス礁(永暑礁)は満潮時に
水没する暗礁だったが、同誌などによると、周辺の
埋め立てで面積約1平方キロの南沙最大の「島」となり、
軍関係者約200人が駐留する要塞化も完了。
飛行場建設も決まったと指摘した。
南沙ではベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾が
飛行場を持つが、中国に航空拠点はない。中国の軍事専門家は、
永暑礁の飛行場の戦略的価値について、
ベトナム、フィリピンなどの南沙の前線・防衛拠点が
「中国の全主力戦闘機の攻撃可能範囲に入り、
事実上、南シナ海での中国の制空権確保を意味する」と述べた。
南沙では、ジョンソン南礁、クアテロン礁、ガベン礁でも
大規模な埋め立てや建造物構築の準備が進んでいるとされる。
中国メディアは10月に入り、
パラセル(西沙)諸島の拠点であるウッディ島(永興島)でも、
滑走路拡張工事が完了したと報じた。中国メディアの一連の報道には、
実効支配を誇示する狙いがあるとみられる。