前日の米国株はダウ工業株30種<.DJI>など主要3指数がそろって下落したほか、ドル/円が101円台後半と上値が重く、日本株を積極的に買う動きは乏しかった。市場では「米金利の低下に伴うドル安/円高への警戒感がくすぶり、強気になりづらい」(国内証券)との声が出ている。日経平均は一時215円安から下げ渋ったものの、25日移動平均線(1万4316円70銭=15日)が上値のめどとして意識された。

黒田総裁は午後、米コロンビア大のビジネススクールが都内で開催したイベントで講演し、異次元緩和が所期の効果を発揮し、物価は2015年度にも目標の2%に達し、その後も日本経済の供給力を需要が上回ることで物価は強含んで推移するとの見通しを示した。強気な見方を踏襲したことで「追加緩和に対する期待感がやや後退した」(いちよしアセットマネジメント執行役員運用部長の秋野充成氏)との見方があった。

一方、寄り前に発表された2014年1─3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算でプラス5.9%となり、ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測を上回った。外為市場では瞬間的にやや円安に振れたが、その後すぐに元の水準に戻し、株式市場での反応は鈍かった。

個別銘柄では、ソニー<6758.T>が大幅安。同社は14日、2015年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)が500億円の赤字になると発表。前年同期は1284億円の赤字で、2年連続の最終損失となることが市場で嫌気された。