◆金正恩氏が“中国のイヌ狩り”指示 
中朝国境「無慈悲に進めよ」3千人超追放

北朝鮮の朝鮮人民軍が中朝国境で警戒体制を強め、
処刑された張成沢氏に代表される
親中派の摘発に乗り出したもようだ。
平壌のほか、国境都市でも「中国の犬狩り」と称した
摘発が進み、3千人以上が追放されたという。

一方、金正恩(キムジョンウン)第1書記が
「戦線を一本化せよ」と指示したともされ、
米韓軍との対峙と同時に国内の「敵」摘発と
対中警戒という“両面作戦”を迫られることへの
焦りをのぞかせている。

中朝関係者らによると、昨年12月の張氏処刑以降、
首都平壌地域に加え、軍査察部隊や
秘密警察が中朝国境の街、恵山(ヘサン)や茂山(ムサン)、
経済特区の羅先(ラソン)に派遣され、
貿易業者や中国人向けのホテル・カジノ従業員、脱北者の
家族らが逮捕・拘束されたほか、 計3千人以上が山間部に
追放されたという。

背景に「中国の犬狩りを無慈悲に進めよ」という
金第1書記名の指示があったとされる。
「中国の犬」とは、金正日(ジョンイル)時代から
秘密警察内で使われてきた中国への内通者を指す隠語だ。

国境の川から30メートル以内の家屋の撤去も命じられ、
国境沿いに機関銃を備えたコンクリート製トーチカ(防塁)を建設。
茂山には戦車が配備されたとの情報もある。
主に摘発対象者の脱北阻止が狙いとみられるが、
それだけではない。

対岸の中国では今月、瀋陽軍区の部隊約10万人と
戦車数千台を投入した異例の演習を展開。
中国共産党筋は「北朝鮮の反中勢力への牽制だ」と指摘する。
これに対抗するように、北朝鮮も咸鏡(ハムギョン)
北道(プクド)や両江道(リャンガンド)、
慈江道(チャガンド)の将兵を動員した冬季訓練を続け、
対中警戒をにじませている。