実は市では、宮本被告の着服が始まったとされる21年以前にも、保護費の申請と支出の業務を宮本被告に兼務させていた。府は不正につながる恐れがあるとして、定期監査で2度にわたって「不適切」と指摘。宮本被告はいったん兼務を外れたが、市は23年1月に再び元の状態に戻し、府には「兼務を解消した」と嘘の報告をしていた。
職員が金を貯め込んでいたため、着服したとされる約2億6600万円の保護費は全額弁済される見込みだが、市の保護行政への信用は地に落ちた。市議会はすでに議員全員が参加する特別委員会を設置し、原因究明と再発防止に向けた議論を進めている。
ある府警の捜査関係者は「上司のずさんな決裁を狙い撃ちにした元職員も、それに気づかず元職員に業務を任せきりにしていた役所も、結局どっちもどっち。情けない行政の尻拭いをさせられた気分だ」と切り捨てた。