今週(11─15日)の米国株式市場は、次期米連邦準備理事会(FRB)議長に指名されたイエレン副議長など、FRB要人の発言に左右される展開が予想される。量的緩和の縮小開始が予想より早いと受け取れる発言が出れば、相場に水を差す可能性がある。
今週はFRB要人の講演がいくつか予定されている。13日(日本時間14日朝)にはバーナンキ議長が「Teaching andLearning About the FederalReserve」という題目で講演する。目玉は14日のイエレン氏の次期FRB議長指名公聴会だ。
ハト派のイエレン氏は、公聴会で超緩和政策の副作用を懸念する共和党議員から批判を受けると予想されている。だが、最終的には承認される公算が大きい。
アナリストの間では、量的緩和の縮小開始は来年になってから、という予想が大勢だったが、8日の米雇用統計を受け、開始時期はそれより早いのではないかとの見方が台頭した。
2週間前にロイターが実施したプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)調査では、3月に縮小開始との見方が過半数だったが、予想より強い雇用統計発表後の調査では、3月開始予想が7社、1月開始予想が6社とほぼ同数だった。
株式市場はこのところ、強い経済指標が出る度に景気回復のメリットと量的緩和の早期縮小開始の影響を天秤(てんびん)にかける状況になる。
ウェルズ・ファーゴ(ネブラスカ)のキャメロン・ハインズ地域最高投資責任者は「FRB内の討議の結果はいずれ明らかになるが、少なくとも12月か1月の縮小開始の可能性が再び検討される」との見方を示した。
経済指標では、10月の鉱工業生産や9月の貿易収支などが今週発表される。
企業決算は、小売りに注目だ。S&P総合500種指数<.SPX>構成銘柄のメーシーズ<M.N>、コールズ<KSS.N>、ウォルマート・ストアーズ<WMT.N>、ノードストローム<JWN.N>の4社が発表する。
ロイターがまとめた予想は、ウォルマートとメーシーズが増益、コールズとノードストロームが減益となっている。
小売り決算は、年末商戦を占う手掛かりにもなる。アナリストの間では、今年の年末商戦はここ数年で最も不振と予想する声もある。