東京株式市場で日経平均は続伸。終値は前日比143円高の高値引けで10月4日以来3営業日ぶりに1万4000円台を回復した。朝方は、米財政協議の難航による米国株の大幅続落や円高を背景に幅広く売りが先行。日経平均は一時142円安まで下げた。
だが、次期米連邦準備理事会(FRB)議長にイエレン副議長が指名されると伝わったことや、米財政協議の進展期待などでリスク回避ムードが後退し、円高一服も加わって後場にかけて上げ幅を広げる展開となった。
寄り付き直後には、銀行・証券や大型自動車株への外国人投資家による売りが観測され、日経平均は1万3700円台半ばまで値を切り下げた。難航する米財政協議に進展の兆しがみられないなか、投資家の不安心理を示すCBOEボラティリティ指数(VIX指数)<.VIX>が節目の20を超え米国で不安心理が高まっていることも重しになったとみられている。
ただ、日経平均は前日安値1万3748円94銭を割り込まず、トヨタ自動車<7203.T>や三井住友FG<8316.T>など主力株には押し目買いが入り底堅さも示した。
日経平均が上昇に転じるきっかけは米国からのニュースだった。米ホワイトハウス当局者が8日、オバマ大統領が9日に次期FRB議長としてイエレン副議長を指名すると明らかにし、株価の支援材料になった。
米議会共和党が短期的に債務上限を引き上げる法案に前向きと伝わったほか、一部報道でプリツカー米商務長官が米政府閉鎖は間もなく解除されるだろうと語ったことも米財政協議の進展期待につながった。
為替が円安に振れると日経平均は上げ幅を拡大した。市場では「リスク回避のポジションが一部巻き戻されたが、9月末以降の下げ幅を考えれば戻りは鈍い。米国では企業業績への期待も高まっておらず、本格化する第3四半期米企業決算を見極めるまで上値は買いにくい」(準大手証券)との声が出ていた。
個別銘柄では、太平洋セメント<5233.T>が続伸。8日に発表した2013年9月中間期業績予想の上方修正を好感した。国内のセメント、資源品等の販売数量増加や、修繕費、営業外費用等の一部下期への繰り延べによる費用の減少が寄与した。
半面、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>は軟調。融資問題の深刻化が警戒された。
東証1部騰落数は、値上がり1450銘柄に対し、値下がりが234銘柄、変わらずが68銘柄だった。