米国の財政問題深刻化を受け、投資家がリスクオフ姿勢を強め、東京株式市場は軟調に推移しています。

 7日の日経平均は前日比170.99円安の1万3853.32円と、大幅に4日続落し、2020年夏季五輪の東京開催決定の直前である9月6日の終値の1万3860.81円を下回り、9月2日の1万3572.92円以来、約1カ月ぶりの安値を付けました。株式市場へのオリンピック効果は帳消しになりました。そして、8日前場も前日比10.31円安の1万3843.01円と、小幅ながら5日続落です。

米国の与野党対立は共和党の茶番に過ぎない

 6日、共和党のベイナー下院議長は、17日に期限を迎える連邦債務の上限引き上げ問題について「債務を増やし続ける深刻な問題を協議しないまま債務上限を引き上げるつもりはない」と明言しています。しかし、米国の財政協議については、17日の債務上限引き上げの期限までには決着するだろうというのが大勢の見方です。

 米国国債が債務不履行(デフォルト)になれば、リーマン・ショック級、いやそれ以上のショックとなります。ちなみに、財務省は3日に公表した報告書で「デフォルトすれば前代未聞で壊滅的な打撃となる可能性がある」とし、「負の波及効果が世界に広がる可能性がある」と指摘しています。まあ、そうなることは猿でも分かります。

 米国では中間選挙が来年あります。茶会の支持を得ようとする選挙基盤の弱い若手の共和党議員はともかく、デフォルト・ショックを引き起こし景気が再び低迷なんてことになれば、世論はその犯人を共和党とみなします。これを懸念する大多数の共和党議員は土壇場で債務不履行回避のため妥協するというのがメインシナリオです。

 つまり、米国の与野党の対立は、主に、共和党による辟易するような茶番であり、政治ショーに過ぎないとみています。しかし、市場は最悪を織り込むものです。このため、このチキンレースが終わらない限り、投資家がリスクオンになることはないでしょう。一方、市場がこの最悪を織り込む、言い換えれば、リスク過敏となり、過度に悲観に傾いている現状は、買い場との認識です。