2日の欧州市場では、短期金利が一時の高水準から低下し、ほぼ横ばいとなった。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はこの日、理事会後の記者会見で、金利を低く抑える方針をあらためて示した。
ドラギ総裁は、市場金利の動向を注視しており、必要に応じ抑制のためあらゆる手段を講じる用意があるとのこれまでの姿勢を維持した。
景気回復を脅かしかねない市場金利の動向に「特に注意」していると述べ、通貨ユーロに関しては、経済への影響を注視する一方で、政策目標ではないと言明した。

総裁の発言を受け、ユーロ圏短期金利は上昇、為替市場ではユーロが対ドルで8カ月ぶり高値をつけた。その後、短期金利は押し戻されたが、ユーロは高値圏を維持した。
ラボバンクのシニア市場エコノミスト、エルウィン・デグルート氏は「ドラギ総裁の発言は全体として市場関係者の予想ほどハト派的ではなかった」と指摘し、「総裁は具体的な措置に言及することを控え、市場ではそれがやや失望を誘った」との見方を示した。
一方で、必要が生じれば流動性が提供されることを金利市場は理解しているため、ドラギ総裁の発言は短期金融市場よりユーロ相場への影響のほうが大きくなったと分析した。

欧州銀行間取引金利(EURIBOR)先物<0#FEI:>はドラギ総裁の記者会見前と比べほぼ横ばい。2014年12月限<FEIZ4>は記者会見中にいったん99.485に低下したが、その後99.51と、会見前とほぼ同じ水準に戻した。

ICAPのストラテジスト、フィリップ・タイソン氏はドラギ総裁のコメントについて、「経済活動に改善が見られるとの認識を示すとともに、長期間にわたり低金利を維持すると表明し、長期資金供給オペ(LTRO)の可能性を示唆する一方で、現時点で直ちに行動する構えは示しておらず、前回とおおむね同じメッセージを送るものだ」と指摘した。