<株式>  ロンドン株式市場は3営業日ぶりに反発。ただ、米財政問題の行方をめぐる不透明感やカーニバル<CCL.L>の下落が上値を抑えた。

FT100種総合株価指数<.FTSE>は14.09ポイント(0.21%)高の6571.46。過去2日間で1%下落し、今週の安値である6540ポイント付近に支持線がある。

クルーズ船運航のカーニバル<CCL.L>が5.6%安。出来高は過去3カ月平均のほぼ4倍となった。第3・四半期決算が30%減益となり、今四半期について赤字になるとの見通しを示した。

サクソ・キャピタル・マーケッツのニック・ビークロフト会長は「短期的には市場は米国の予算と債務上限引き上げをめぐる交渉に対処しなければならず、今週はやや活気が抑えられるだろう。ただ、来週になれば状況も見えてきて勢いを取り戻すだろう」と語った。

欧州株式市場は小幅高で終了した。通信業界の企業のM&A(合併・買収)が好感され、低調だった米独の経済指標や、クルーズ船運営会社カーニバル<CCL.L>の不振な決算などの影響が相殺された。

FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>終値は2.07ポイント(0.16%)高の1258.18。

DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は16.58ポイント(0.57%)高の2922.93で取引を終えた。

スペインの通信会社テレフォニカ<TEF.MC>はイタリアの通信大手テレコム・イタリア <TLIT.MI> 株式の保有率を今後段階的に引き上げると発表。南米での競合相手であるテレコム・イタリアへの影響力を強めることになる。テレコム・イタリアは1.7%上昇した。

一方、カーニバルは5.6%安。同社が運航する豪華客船のコスタ・コンコルディア号がイタリア沖で座礁するなどの事故が相次いだことで、第3四半期(8月31日まで)決算は30%の減益となったと発表。第4・四半期に調整ベースで赤字に陥る可能性を示したことが嫌気された。

米連邦準備理事会(FRB)の緩和縮小の開始時期をめぐる不透明感が高まるなか、株式市場はこのところ不安定な動きを見せていたが、一部投資家は特に欧州で見られるプラスの動きに注目し、株式市場に対し強気な見方を維持している。

前日には 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が欧州議会の証言で追加長期資金供給オペ(LTRO)実施の用意があると発言。べリー・アセット・マネジメントのシニア調査アナリスト、ディペシュ・メスリア氏は、ドラギ総裁の発言に加え欧州企業のM&Aに言及し、「欧州では多くの前向きな動きが出ている。米国発のニュースは思わしくないが、あまり心配していない」と述べた。

同氏は企業のM&Aについて、これまで何年間にもわたりバランスシートの強化に努めてきた結果、ようやく長期的な成長に向けた投資に動き始めたと指摘。「今後はM&Aは活性化する」との見方を示した。

<ユーロ圏債券> ドイツのIFO経済研究所が発表した9月の独業況指数が予想をやや下回ったことや、欧州中央銀行(ECB)当局者が緩和的な金融政策が続く可能性を示唆したことなどを受け、独連邦債利回りが低下した。

9月の独IFO業況指数は1年5カ月ぶり高水準となったものの、エコノミスト予想には届かず、市場が過度に速いペースでの景気回復を織り込んでいる可能性があるとの懸念が広がった。

また、ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は、非標準的措置の終了は尚早で、長期資金供給オペ(LTRO)は依然としてECBの政策ツールの一つとの考えを示した。

前日にはドラギECB総裁が、短期金利の上昇を抑制するため追加LTROを実施する用意があると述べていた。

独連邦10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)低下の1.80%。独連邦債先物は76ティック高の139.54。一時、3週間ぶり高値となる139.60をつけた。

ECB当局者の発言を受けてユーロ圏債券は全般的に上昇し、イタリア10年債利回りは3bp低下の4.24%となった。

イタリア財務省の債務管理責任者マリア・カンナタ氏はこの日、2014年の国債発行額が今年とほぼ同水準になるとの見通しを示すとともに、15年の大量償還を減らすため14年に国債交換や買い戻しを行うことを検討すると明らかにした。

イタリアは約2兆ユーロの債務の削減に取り組む必要があるが、アナリストは14年の発行額について、一部は翌年分の前倒し調達になると指摘。財政目標の達成に大きく影響する公算は小さいことから、マイナス要因ではないとの見方を示した。